最近では主治医に対する不満や不信感から転医を希望し、当院に来院されるケースを散見するようになりました。 当然、医療的な立場からは治療を中止することによって起き得る患者さんの不利益について説明し、継続の説得をすることになります。それでも中止したいと言われた時には法的に次の解釈をします。 準委任契約の医療契約では、民法により患者さんはいつでも理由を問わず治療契約の解除が可能です。治療費もその時点で進行度による精算の義務が生じます。また消費者契約法ではこれに伴う過剰な賠償は禁じられていますので、契約書の特約などで治療費の返還はしないと記載しても無効になります。従って進行度以上の治療費は預り金としての認識が必要になります。 患者さんが治療中止を決断した場合、それを受け入れなければならず、治療費を前納されている場合は、治療費の返金を診療所(開設管理者)の責任として行う義務があり、特約などに「患者の都合による中止は返金しない」とうたっていても無効になります。 もし、適正な返金を断られている方がいらっしゃれば、最寄りの消費生活センターなどにご相談頂ければと思います。 次回は当院も所属しております日本臨床矯正歯科医会で推奨している精算の目安についてです。(続)
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