矯正治療を考えている方で以前この様なご質問がありました。
『はじめまして。 私は、Yといいます。年齢30歳、八重歯です。 最近かかりつけの歯医者さんに矯正をすすめられました。 以前から自分の歯並びが気になっていたこともあって矯正しようかな、と考えています。 しかし、多くの人がそうであるように私も「抜歯」には抵抗があります。 矯正の先生に色々な理由を教えてもらいましたが、やはりちょっと、、、、。 ネットで調べていたら抜歯しない方法の一つに「床矯正」という方法があることを知りました。 佐藤先生は床矯正について、どのように考えていらっしゃいますか? また、成人したひとに床矯正を行った事はありますか? 私に対してできる、できない、と言う事は言えないと思いますので、 先生のお考えを教えていただければと思います。 よろしくお願いします。』
このご質問に対し以下の回答をさせていただきました。
はじめまして院長の佐藤です。 われわれ矯正歯科専門医が、皆さんに使用する装置を決める際には、検査、診断の結果により、何種類もある矯正装置の中から、どの装置がその人にとって必要かを考えます。 床矯正装置というのは、数ある矯正装置の中の選択肢の一つであり、診査診断の結果、床矯正装置が適当であると判断されれば、当然床矯正装置を使うことになります。しかしながら、最初から使う装置を床矯正装置だけに限定してしまいますと、治療にはおのずと限界が生じます。 また、抜歯に関しましては、先に述べた検査診断をした上で慎重に判断をして決定されることになります。 今回は、直接Y様のお口の中を拝見できませんので治療方針そのものにはなんとも言えませんが、ご相談の内容からひとつ気になることがあります。 Yさんは治療法によって治療のゴールの違いがあることをご存知でしょか? 装置や技術によって、治療目標が変わってきますので、その違いを把握したうえで治療法を選択しないと、せっかくの矯正治療がご自身にとってもあまり有意義なものでなくなってしまうことが心配です。 特に床矯正装置だけの治療をしている歯科医師に、すべてを把握していろいろな矯正治療の選択肢を考えることは難しいでしょう。 また抜歯に関しても、するのとしないことでどう治療結果に違いがあるのかを説明を受けて判断されたほうがよいと思います。 話は尽きませんが、いろいろな結果を患者さんに示していけることができるぐらいの経験を持ち(もちろん全体的な矯正治療、抜歯した場合しない場合などの経験は当然ですが)、将来のYさんのお口の健康や幸せを考えてくれるドクターが、選ぶ治療方法ならよいと思います。 治療法ってそういうものですよ。
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