現在、特に歯科インプラント治療と矯正歯科治療では、国民生活センターなどへの苦情が多いことから、消費者庁はホワイトニングを特定商取引法の対象とした後、このふたつの歯科治療の分野を注視している状況です。 今年の3月に国民生活センターは「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか −なくならない歯科インプラントにかかわる相談−」という調査結果を消費者庁などに提出し、日本歯科医師会へ改善の要望をしています。 また矯正歯科分野では平成29年12月に施行された改正特定商取引法の特定継続的役務の候補にあがるという事態が起こっています。
このような状況下、たまたま数年前から矯正歯科の消費者問題(患者様の苦情問題)や特商法対策の実務を経験する機会が与えられ、いろいろと取り組んできました。その中で矯正歯科治療契約の解釈が患者さんや歯科医師によって、まちまちであることの問題性を感じました。 特に多い苦情として、矯正治療中に転医する際に、治療費の返金が適切になされていないことが挙げられます。 法的には、治療費は治療結果により発生するものではなく、治療目標に対する進行度に比例する施術料という意味合いです。従って結果が気に入らないから返金を求めることはできません。しかし治療途中で中止する際に、治療費を先払いしている場合は治療目標に対する不履行分の返金が求められるわけです。
ところが転医も含め患者様の都合で中止する場合は一切返金しないという契約時の特約などで医院側から返金されない事態が起きています。法的には進行度に合わせた治療費の精算が義務づけられています。 続く
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