前回までは成人や年配者の治療方法や方針について、考慮すべき点について
お話いたしました。
最後に身体的な年齢の差として、お子様との違いをお話いたします。
1、矯正治療では顎の成長が利用できることがありますが、
当然成人矯正においては成長期が終了しています。
従って、その分歯牙の移動に頼る必要が生じます。移動量が大きく
なったり、治療の精度をより高く求められる場合があります。
2、歯槽骨や歯肉などの組織再生能力は年齢とともに落ちてきます。
例えば歯が重なって密集していると、もともと歯槽骨の量が少なく
骨の高さが十分ではないことがあります。
矯正治療できれいに歯を並べることで、歯肉は炎症も取れ歯槽骨の高さに
合ってくるのですが、歯の根本に隙間が見えてしまうことがあります。
お子様の場合は、ある程度骨の高さも上がって通常の歯肉の位置になります
が、成人の場合は現状の維持にとどまってしまいます。
しかしこの現象自体は歯周病の予防のためには清掃性が確保され、
歯茎のためには良い状態なのです。
歯を失う歯周病のリスクが少なくなったことを意味します。
3、矯正治療後の安定に対しての配慮もお子様の矯正治療以上に必要に
なります。
お口の周りの筋肉例えば唇、頬や舌などが歯列の形を維持しています。
矯正治療で変化した歯列の形態に順応する早さはお子様が勝ります。
その他叢生に対しても安定維持のため、経過観察や保定（歯の位置を固める
こと）の重要度が増してきます。
（続く）
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